9月9日から鹿児島県へ行ってきました

D500+200mmマイクロ、Everes lacturnus kawaii♂、鹿児島県、2020年9月10日

タイワンツバメシジミは、かつて紀伊半島や四国でもみられたが、近年ではほぼ姿を消しているようで、撮影のためには九州まで行かなくてはならない。今回は昨年に引き続き鹿児島県まで出かけて雨模様の中、4日間撮影した。

同上

D500+200mmマイクロ、Everes lacturnus♂、鹿児島県、2020年9月11日

D500+200mmマイクロ、Everes lacturnus♂、鹿児島県、2020年9月11日

このように翅をスリスリしてもほとんど開くことはない。羽化直後の綺麗な雄なのでなんとかと思うのだが、LEDが有効なことも多いので、いつも携行していなくてはいけない。

タイワンツバメシジミとは分かり易い名前だ。同属にツバメシジミがいて、南の方にいる種として付けられた和名だと思われるが、日本における両種の繁栄は大きく異なる。ツバメシジミがマメ科植物を広く利用するのに対して、本種はシバハギとその近縁種のみを利用するため、生息環境がかなり限定されるようだ。

この種を目的に九州を訪れたのは、これで4回目となるが、10年以上前に訪れたときは長崎県を訪れたが、情報を聞く限りではかなり厳しいようだ。この蝶は条件さえ整えば、狭い範囲に高密度で棲息しているので、撮影に関しては難しい種ではない。シジミチョウの中でもやや小振りであるものの良くとまるし、開翅も一日観察すれば時間帯や条件などもほぼ把握できる。ただし、雄で開くのはボロが多く、雄の羽化直後を撮影するにはそれなりの根気が必要なのは何でも同じだが、晩夏の日陰のない条件では苦行といえるかもしれない。

この苦行という言葉は、撮影仲間の引用(パクリ)であるが、最近の自分の撮影に関しては、かなり当てはまっている感じがしている。好きで始めて家族サービスも顧みずにあちこち出かけて、挙げ句の果てに苦行というのは勝手が良すぎるのは十分わかっている。

奄美大島以南に、以前は亜種であるsubsp.lacturnusが棲息していたが、現在は絶滅という状況のようだ。迷蝶だった可能性もあるが、今となっては何ともしようがないものの日本以外では棲息しているので、大きな問題はないかもしれない。

それに対して、最近話題となっているオガサワラシジミの絶滅は事情が異なる。小笠原諸島は、その成り立ち(島が出来てから一度も陸地と接していない南海の孤島)から日本のガラパゴスとも呼ばれているが、ある意味ではそれ以上に貴重な生態系である。

この島々を日本人が管理するようになって200年経っていない。島を訪れてみると、固有の森林は、ほぼ失われており戦前の日本において、利用価値の高い植物に置き換わっている。この地にリュウキュウマツがあちこちに生えているのをみて、愕然としたことを良く覚えている。この地を勝手に占有したのに(もちろん国際法上の問題はない)、しっかり管理しなければいけない固有種の消失は、小さな蝶であっても大きな出来事だ。とても先進国であるなどとは、胸を張れる状況にないと思っている。

 

今回のメインである雌の姿と、バカみたいに多く見られた交尾などに関しては、次回以降に報告する。