9月末に南大東島でハマヤマトシジミを撮影しました

9月29日午前のフライトで那覇空港から南大東島へ向かいました。事前に翔さんから詳細な情報をいただいていたので、心配事は台風などの天候だけですが、滞在した2日間は好天に恵まれたものの、撮影には暑すぎて陽射しもちょっと強過ぎでした。

那覇空港と南大東島を結ぶプロペラ機(南大東島空港にて撮影)COOLPIX P300(上下トリミング)
那覇空港と南大東島を結ぶプロペラ機(南大東島空港にて撮影)COOLPIX P300(上下トリミング)

宿に着いたのは正午過ぎで、すぐに昼食(大東そば)を食べてから宿のレンタル自転車で出発です。集落外れのポイントあたりには、イヌビユが生えていそうな草地はあるんですが、一寸雑草が繁茂しすぎているようです。耕作地を挟んだ空き地にイヌビユがたくさん生えているのを見つけ目視で探していると、チラチラ小型のシジミが2~3頭飛んでいます。我が家でも馴染みのあるヤマトシジミに比べ明らかに小さく感じます。雄のブルーもヤマトより深みのある青です。

在所集落のはずれにある荒れた耕作地で、中央がイヌビユ、左上に吸蜜をしたセンダングサが見えます。2011.09.29COOLPIX P300(上下トリミング)
在所集落のはずれにある荒れた耕作地で、中央がイヌビユ、左上に吸蜜をしたセンダングサが見えます。2011.09.29COOLPIX P300(上下トリミング)

裏面の撮影が済み、吸蜜や雌の産卵を撮影したところで一段落です。情報をいただいた他のポイントも見に行くこととして集落を外れてサトウキビ畑も見ましたが、イヌビユは少し生えているものの見つかりそうな感じはありません。集落に戻ってイヌビユがたくさん生えている駐車スペースの横へ近づいてみると、数頭のハマヤマトが飛んでいます。その後、最初のポイントに戻って観察していると、午後4時過ぎになったところで、雌が開翅し、続いて雄が2頭開翅しましたが、しばらくするとイヌビユから少し離れた場所でお休みモードになってしまいました。少しだけちょっかいを出してみましたが、少し飛んで、翅を閉じたまま止まってしまいます。

再度集落内の別の駐車場を通りかかると食草とハマヤマトシジミが確認でき、集落内を探せば他の発生ポイントも容易に探せそうです。集落内での活動がほぼ修了したところで、一日目の撮影を終了しました。
初日の成果として、荒れた耕作地周辺や人工的な裸地に食草が多く、これらの場所で発生しているようです(こんなことは分かっていることですね)。眠りにつく場所は、食草からちょっと離れた場所のようです。

2日目に撮影した場所、集落内の路地裏で、私が立っている後方で主に撮影していました。COOLPIX P300(上下トリミング)
2日目に撮影した場所、集落内の路地裏で、私が立っている後方で主に撮影していました。COOLPIX P300(上下トリミング)

ハマヤマトシジミ2日目(9月30日))

午前のフライトで那覇空港に戻りますので、10時半までしか時間がありません。とりあえず、6時過ぎに撮影を開始すると、7時前には活動が盛んになってきましたが、翅を閉じたままです。7時半頃になって急に翅を広げる個体が現れると、次から次へ開翅のスタートです。30分ほど経過すると活発すぎて盛んに雄同士の追尾が始まり、ゆっくり撮影できない状況になってしまいました。そのまま撮影を続けたかったのですが、朝食のため30分ほどその場を離れました。撮影ポイントに戻ると活発に飛び回っていますが、翅はすぐ開きます。その後、イヌビユへの執着心が強くなり、飛翔時間も長くなって、明らかに雌の探索飛翔と思われる行動が多くなって、あまり止まらなくなりました。地面を這うような飛び方も多くなり、イヌビユ周辺から離れる個体はほとんどいません。
時間切れのため10時半過ぎには撮影を終えましたが、午後のフライトにすれば良かったとちょっとだけ反省しました。この蝶のためにこの地を訪れることは、もうないように思うからです。

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2日目の午前中(10時半頃までですが)に見た数十頭のハマヤマトはほとんどが雄です。もう少しゆっくり観察したら、雌の活動開始や交尾が確認できたかもしれません。

以下にちょっとだけ整理してみます。
雄の行動時間は早朝(朝陽が射す前)から夕方まで、ほぼ一日中のようです。
雄の飛翔や開翅は時間帯によって異なり、活動開始直後はゆっくりと飛び、8時頃からほとんどの個体が開翅するようになり、その後活発に飛ぶようになって、雄同士の追尾や食草周辺での飛翔が多くなった。午後は比較的ゆっくり飛び、夕方は地這いではなく、かなり高く飛ぶようになった。
開翅は午前の2時間ほどと夕刻(午後4時過ぎ)の短い時間帯であった。
吸蜜は早朝(8時頃まで)と午後であった。
雌は早朝(朝10時過ぎまで)は活動しないか、不活発であると思われる。
産卵は午後の比較的早い時間帯と思われ、吸蜜はその前後に確認できた。
交尾個体が見られるとすると、午前中か午後の早い時間帯ではないでしょうか。

以上、素人が秋の天気の良い日に2日間(実質は1日観ていない)観察しただけなので、ほんまかいな、と思っていただいてよろしいかと思います。

朝陽の中で、変化する雄の翅表をご覧ください。軽く日陰をつくって軽くストロボを発光させると、よい感じに写せるかもしれませんね。

ハマヤマトシジミの感想を書かせていただきます(個人的な意見なので大目に見てください)。
日本で見られる蝶の中で、ホリイコシジミやタイワンヒメシジミと同じくらい小型で、南北大東島でしか見られない貴重な蝶を撮影できたことは、本当にうれしく思っています(情報提供ありがとうございました)。
ですが、これほど人間の生活が影響する環境で生息している蝶ですので、撮影自体が楽しくないのも事実です。はっきり言ってヤマトシジミ以下です。
なんで、沖縄本島や八重山からいなくなったの???でしょうか。この島の状況からだけいえば、保全に値するような環境ではありませんし、ちょっと無理ですね。
宿の女将さんから「採りに来る人は必ずここに泊まりますよ。」と言われましたが、この状況なら採ってもいなくなるようなことはないように思います。
帰りがけに大東羊羹の製造元まで買いに出かけ、集落内を少し走りましたが、発生していそうな場所は、あちこちにありました。保険として、この地の個体群を(全国で)数箇所で飼育するくらいで十分ではないでしょうか。
今回、丁寧に撮影できなかったことと、交尾を撮影できなかったことが心残りですが、だからもう一度行くかと問われれば、ノーですね。
大東空港で大東寿司を買い機内で昼食として食べましたが、やや甘口で美味しかったけれど、ピリリとワサビがきいてツンと鼻にきました。